低酸素室でのヨガ実験と宿泊トレーニング

低酸素室内部

 金曜日夜から土曜日の朝にかけて、3400メートル相当の低酸素宿泊。富士山でいえば、9合目あたりだ。鹿屋大学の低酸素室は、チェンバーが2部屋あり、1つが10畳、もうひとつが8畳くらいの大きさ。部屋には、宿泊用の2段ベッドのほか、トレーニング用のトレッドミル、自転車エルゴメーターが置いてある。この週末はたまたま、トレーニング室の開きがあったらしい。前後には、日本最強の自転車チーム シマノレーシングチームが、チベット遠征に向けて、高所トレーニングと宿泊トレーニングの予約が入っているという。

 いきなり、3400メートルの宿泊には、不安があったが挑戦だ。部屋にいるだけでも、ちょっと視野が狭くなるような感じもする。息苦しい。右目横に頭痛もするようだ。血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターを装着して、いざ就寝。自覚症状として寝入りは、悪くない。2時頃一度トイレに目がさめる。その後、再び寝ようとするが、今度は不快感が増していて、どうもよく眠れない。

 次の朝、パルスオキシメーターの値を山本先生に解析していただく。SpO2平均は、75.1%、最低値は60%だった。心拍平均は72.3。値よりも、自覚症状は最悪。

 8時から、山本先生の研究室の中原さん、大沢さん、西谷さんが来られ実験の準備。ヨガの呼吸法を私が行い、実験。まず、常酸素でそれぞれの呼吸法(腹式呼吸、胸式呼吸、完全呼吸、ふいご呼吸)についてダグラスバッグでの呼気量計測、後は、低酸素4000メートル相当(酸素濃度12.8%の部屋、通常の酸素状態は20.9%)での、呼吸パターン解析装置(呼吸時の体の動きがわかる)、近赤外分光装置(脳とか筋肉の中の酸素の濃度がわかる)での呼吸法の解析、ヨガのポーズ時の解析。近赤外分光装置は、なんと、前日に入手した最新機とのこと。大学院生の大沢さんは、前夜遅くまで、その使用法を研究されていた。ヨガのポーズ(三角のポーズ)を行ったとき、ポーズと脳、筋肉の酸素濃度の相関関係がありそうなデータがでたらしく、ちょっとうれしそうにしてくださったので、こちらもうれしくなった。ふいご呼吸も面白い結果が出そうだと言っていた。

 昼食は、地元のお魚の定食をいただく。鹿児島湾では、タイとカンパチが美味しいという。定食最高。 

 午後は、低酸素室4000m相当で、エルゴメーターでの高所順化状況テスト。30分で6段階の強度の変化の中で、心拍数や血中酸素飽和度、乳酸の変化を計測するもの。今までの登山隊のデータと比較して、自分の今ある位置を確認できる。私の場合は、全体的に平均値を少し上回る程度らしい。山本先生によると、強くなるためには、とにかく高所での滞在時間を増やすことが効果があるが、平地では、心拍を上げるトレーニング(私の場合は心拍150くらい、)と、長時間(定常的には乳酸がでるちょっと出る程度の心拍100〜110くらいで、10時間くらい)のトレーニングを交互に行うことが効果があるという。

 その後、自由にトレッドミルレーニングを行ってもいいといわれるが、気分がすぐれず横になってしまう。「気合がないね」と山本先生苦笑。仕方がない、気分がすぐれず、本当に動けないのだ。その後、トイレに駆け込み、昼食をすべて嘔吐。一応、言い訳程度にトレッドミルを30分。

 夜、近くの海に面した温泉で一風呂。癒される。一気に元気を回復して、再び低酸素室へ戻る。二日目の晩は4000メートル。これもきつい。きつすぎる。11時頃ねはじめはよかったが、2時ころ起き出して、嘔吐。再び寝るが、5時頃目がさめて、あまりのつらさに体が拒否。二度と低酸素室に戻る気になれず、常酸素の外でごろ寝していると蚊にさされる。泣きっ面に蜂。9時まで常酸素で睡眠。常酸素での睡眠を含めて、SpO2平均79.3%、最低値49%。心拍平均75.5。気分は、超最悪。

 地獄の低酸素宿泊合宿がつづく。